オータメモ

オータのメモ帳です

司馬遼太郎記念館に行って

夫と東大阪司馬遼太郎記念館に行った。
文庫本の巻末の案内を目にしたことがあり、いちど行ってみたいと思っていた。
夫は司馬遼太郎のファンだけど行くのは初めてだという。

開館ちょっと前に着いたら、すでに待っているひとがいた。
さすが超人気作家の記念館。
膨大な展示で作家の足跡や物語の背景をたどれるのだと思ってわくわくして足を踏み入れた。でも、思っていたのとはだいぶ違った。

巨大な書架には圧倒されたし、書斎を見られたのも良かった。
建物(安藤忠雄建築)は素晴らしいんだろうと思う。
でも、とくにファンではない者には、なんとも物足りなかった。
大量の蔵書展示は、遠くてほとんどがタイトルすら判別できなかった。ただ囲まれて圧倒されるだけ。
「感じる記念館」とうたっているのも高尚すぎて落ち着かない。
一人でぼんやりできるなら素敵な場所かもしれないけど。

 

吉村昭記念文学館のことを考えた。
日本各地の郷土史が並ぶ書架を目にした時は涙が出そうになった。
この資料群からあの作品ができたのか、と震えるような思いだった。
司馬ファンもやっぱり胸が震える思いであの書架の下に立つのかしら。

来館者の感想ノートがあって、熱量のある文章を読むのが面白かった。「司馬先生、你好!」で始まる中国人の感想文は、2ページにわたってびっしり書き込まれていた。40歳、男性。学生時代に翻訳で何冊も読んだらしい。
記念館はもうすぐ開館20年、感想ノートは100冊を超えたそうだ。

夫は吉村昭を好まない。報告書を読んでいるみたいだという。
記念館を出たあと、司馬と吉村は何が違うんだろう?と聞いてみた。
夫は少し考えて「司馬には思想がある。哲学があると思う」と言った。
私は「へー」としか言えなかった。何も言えないのが悔しかった。
私には吉村昭を語るだけの力がないのだ。

あとで二人を対比する文章をいくつか読んだ。
アマゾンのレビューにあった「司馬遼太郎の史談小説、吉村昭の史実小説」という表現がしっくりきた。津村節子の対談集「遥かな道」からの引用らしく、そのうち読んでみようと思う。
吉村昭の岩に刻み付けたような揺るぎない文章が好きだ。

 

司馬遼太郎の史談小説、吉村昭の史実小説ー大河内昭爾による定義
(アマゾンレビュー)
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「日本一小さな文学館」 吉村昭文学資料館 袖ケ浦市にオープンhttps://www.cl-shop.com/citylife/ichihara/2020/08/27/37169/

 

共に大作家の吉村昭司馬遼太郎との作風の対比
(でんすけの徒然ブログ)
https://densuke.hateblo.jp/entry/2018/08/06/084527