フロスのおかげ

歯磨きがあまり好きではありません。虫歯になるのは嫌だし、口の中が気持ち悪くなるので朝晩必ず磨きますが、磨き方はかなりいい加減で、磨く時間も短いです。でも、ここ10年ほど大きな虫歯はできていません。小さな虫歯はたまに見つかりますが、治療はたいてい1回で終わり。痛みもありません。そんな快適な状態を保っていられるのは、半年ごとの検診とデンタルフロスによるところが大きいと思っています。

 

オータは幼稚園に入る前から歯医者に通っていました。虫歯になりやすい体質だったようです。子供のころ歯医者の何が嫌だったかというと、歯を削るときの金属音や痛みへの恐怖に加え、よその子供の泣き叫ぶ声と医師の怒声でした。田舎だったせいか、当時はお医者さんが患者(子供)を怒鳴ることはふつうにあったように記憶しています。

 

それで歯医者が嫌いになったかというとそうでもなく、小学校を卒業するまでしょっちゅう虫歯治療に通っていたせいで、治療が早ければ早いほど痛みが少ないということを子供ながらによくわかっていました。そして、いったん虫歯になったら自然に治ることは絶対にないということも。

 

そんなわけで、大人になってからは異常を感じたらすぐ歯医者に予約を入れ、定期検診も欠かしません。ただ、磨き方がいい加減なので虫歯はときどき見つかります。あと、磨くときに力を入れすぎるようで、知覚過敏になったのを虫歯と勘違いして受診したことも何度かありました。そのたびにブラッシングの指導を受けるのですが、時間が経つと自己流に戻ってしまいます。教わった方法は15~20分かけて丁寧に丁寧に磨くので、面倒くさがりのオータは身に付きませんでした。

 

そこに救世主のごとく登場したのがデンタルフロスです。

 

フロスを使うようになって10年ほど経ちます。当初は週1~2回の使用でしたが、いまは歯磨き後はほぼ毎回使うようになりました。最初は力の加減が分からず、上手く歯間に入らなかったり、歯茎に糸をめり込ませたりしましたが、だんだん上手く扱えるようになりました。旅行に出かけたりして数日ぶりにフロスを使うと、ちょっとくさかったり、歯茎から血が出たりすることがあるので、しばらく使わないでいると落ち着きません。使う頻度が上がったのは、年齢とともに歯並びが悪くなったり歯茎が痩せたりして、食べ物が詰まりやすくなったせいもあると思います。

 

オータがフロスを知ったのは高校生のとき、いまから30年前(!)のことです。ニューヨークを舞台にした少女漫画「CIPHER(サイファ)」のなかで、主人公がフロスを手にするとても印象的なシーンがありました。この漫画でフロスを知り、使っているという人は結構いるんじゃないかと思います。オータが実際に使い始めるのはそれから20年後ですが、頭に「フロス=サイファ=なんだかオシャレ」というイメージが強烈にインプットされたのは確かです。

 

歯磨き嫌いのオータですが、フロスは大人になってから身に付いた良い習慣のひとつです。鏡の前でフロスを指に巻いた自分の姿を見るたびに、フロスのおかげはサイファのおかげかもしれないなあとしみじみ思うのです。